Grant Takes Command (GTC)のシナリオ「Marching To Cold Harbor」を、Vassalを用いてPBEMしました。筆者は北軍を担当し、プレイ開始から終了まで220日を要しました。

シナリオについて

今回プレイしたシナリオ「Marching To Cold Harbor」は、GTCの2本の上級ゲームシナリオのうち、オーバーランド戦役(この戦役の一般的な訳語ってあるのでしょうか?「半島戦役」に対して「陸上戦役」とでも訳すべき?)の後半のみをシミュレートするものです。

ゲームは、オーバーランド戦役の開始から約3週間後、ウィルダネスの戦い(5月5日~7日)と、スポットシルベニアの戦い(5月8日~21日)の後に、5月27日に両軍がNorth Anna川付近で対峙しているところから始まります。

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北軍の方針

勝敗は勝利ポイント(VP)で決定され、北軍は主に次の要因でVPを得点します。

  • Richmondに近づいた歩兵師団の数
  • 郡の支配
  • マップ上、またはマップ外ボックスにある重要地点の占領
  • 戦闘で南軍に与えた損害 (北軍が損害を受ければVPを失点)

筆者がゲーム開始前に考えた北軍の方針は次のとおりです。

  • Richmond周辺の堡塁や要塞を抜くのは難しそうなので、より多くの部隊をRichmondに近づけることに専念
  • 戦闘はできるだけ避ける。やむなく戦闘する場合、損失によるVPの得失点が生じないように敵に損害を強要する
  • ゲーム開始直後、北軍は一度南軍から離脱し、Pamunkey川に沿って南東に下る
  • RichmondのあるHenrico郡に補給を送るため、White House Landingに集積所を構築する
  • Sheridanの騎兵軍団はPamukey川の渡河点とWhite House Landingを確保するため、速やかに南東に移動する

Hamptonの襲撃 (1~2ターン)

ランダム・イベント:なし(シナリオ特別ルール)、効果なし

北軍は方針通りに部隊を南軍から離脱させ、Pamunkey川の北岸に沿って移動させました。移動力のダイスは好調で、第1ターンに10ヘクス以上の移動を成功させます。

これに対し南軍は、Hampton率いる騎兵部隊を北軍の集積所があるPort Royalに向けて送りました。このとき、北軍の騎兵軍団の全体が既に南東へと移動していましたが、Sheridanが騎兵1個師団を引き連れて北へと戻り、残りの2個師団がそれぞれPamunkey川の渡河点とWhite House Landingの確保へと向かいました。

HamptonがPort Royalに到達して集積所を破壊した場合、北軍の兵站は復旧に何ターンも要するほどの壊滅的な損害を受けることになりますが、Hamptonの前方を遮るものは何も無い状態でした。しかし、運はここで北軍に味方しました。Hamptonの移動力のダイスは不調で、SheridanはギリギリのところでHamptonを捕捉することに成功したのです。

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Grant、Pamunkey川を渡る (3ターン)

ランダム・イベント:南軍指揮の停滞

集積所が危機を脱した北軍は、歩兵部隊をPamunkey川の南岸へと渡しました。雨が降った場合のことを考え、渡河点には浅瀬ではなくフェリーを選びました。南軍は3ターンまでにNorth Anna川南岸の陣地を放棄して、北軍とRichmondの間に入りました。

また、James軍はBermuda Hundredに完全に封じ込められ、このままでは何の貢献もしない状態であったので、北軍は海軍を集積所の構築ではなく部隊の輸送に振り向けることにしました。James軍から1個軍団を引き抜いて、これをRichmond近郊に進めることができれば、より多くのVPを稼ぐことができます。White House Landingに集積所を構築するのは遅くなりますが、当面の補給は徴発でまかなえばよいと判断しました。

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Cold Harbor (4~7ターン)

ランダム・イベント:南軍指揮の停滞、雨 (現在+1)、雨 (現在)、北軍の夜間行軍

南軍に正面を押さえられるられた北軍は、南東に向けて小規模な迂回機動をおこないました。しかし、南軍は再びその正面へと部隊を送り込み、両軍はCold Harbor付近で対峙しました。

ここで雨が降り始め、塹壕の構築が不可能になりました。雨の中での戦闘では攻撃側に不利なダイス修整が適用されますが、南軍は塹壕を構築できず、既に塹壕に入っている部隊は迂闊に塹壕を放棄できない状態になりました。

北軍はここで南軍を正面から攻撃すべきかどうかしばらく悩みました。しかし、正面からの突撃だけでは決定的な戦果をあげることはできないと判断し、攻撃は実施されませんでした。

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Savage Station (8~9ターン)

ランダム・イベント:北軍の夜間行軍、北軍指揮の停滞

北軍は再び左へと迂回し、Chickahominy川を南に渡りました。しかし、これまた再び南軍が前方に滑り込み、塹壕を構築します。北軍はChickahominy川をまたぐ形で、Savage Station付近で南軍と対峙することになりました。もしも雨でこの川が増水すれば、1862年の半島戦役のときと同じように南北に分断される危険がありました(実際には、ゲーム終了まで雨は降りませんでした)。

北軍はここで1ヘクスに2個軍団を集中してスタックさせる戦術をとりました。これにより、北軍の各ヘクスの戦闘力が60を超え、ほとんどの師団の戦闘力が1桁に割り込んでいる南軍が側面攻撃ボーナスを得ることは困難となり、両軍がにらみ合う状態となりました。

第9ターンにはゲーム終了チェックがあり、北軍が勝利に必要なVPを稼げていないため、この状態でゲームが終了した場合には南軍の勝利でした。しかし北軍は、ここで無理に攻撃をしても、勝利できる可能性は少ないと判断してゲーム延長に賭けることにしました。そしてこの賭けは当たり、ゲームは10ターン以降も続くことになりました。

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最後の迂回機動 (10~11ターン)

ランダム・イベント:南軍指揮の停滞、南軍指揮の停滞

北軍が勝利するためには、あと一歩Richmondに向けて前進する必要がありました。既に兵力を集中していた北軍は、南軍の陣地に正面攻撃を試みることも可能でしたが、それはギャンブルに思えました。

北軍はさらに左への迂回を試みます。この迂回に失敗すると、さらに左に迂回するスペースは残されていません。これまで北軍は、基本的に全軍が集中したまま迂回する戦術をとってきましたが、今回は部隊を二分してその一方を左に送りました。南軍がそのまま陣地にとどまるなら包囲することができ、後退するならばRichmondに向けて前進できるという「王手飛車取り」を狙ったのです。

しかし、この判断は失敗でした。南軍は北軍の正面を遮りつつ、迂回を試みた北軍のWarrenとSmithをMalvern Hillの北西付近で次々と蹴散らすというアクロバットを成し遂げたのです。北軍は「部隊を集中して南軍に包囲攻撃を許さない」という態度を崩すべきではなかったのです。

北軍がここで大きな損害を一方的に被ったことで、勝利ポイントのバランスは大きく南軍に傾きました。

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Early vs Wright

Grantが迂回を繰り返している間、Wrightの軍団(実質、2.5個師団)がHanover郡の支配郡都であるHanover Junctionを確保していました。Hanover郡を支配することによるVP(4ターン毎に10VP)は非常に重要なのです。南軍はEarlyに2個師団を持たせ、Wrightの前方を塞いでいました。Earlyは一度だけHanover Junctionの奪回を試みましたが、Wrightが部隊を集中させて防御したために側面攻撃ボーナスが成立せず、この試みは中止されました。

GrantがMalvern Hill付近の戦いで敗北したことにより、更なるVPの捻出を求められた北軍は、WrightをRichmond近郊へと送り込むことにしました。Earlyがこれを阻止できないよう、Wright指揮下の2個師団を別々のルートでRichmondに向けました。Earlyは部隊を二分すれば兵力不足で北軍を止められず、一方の北軍だけに注力すれば、もう一方の北軍がRichmondに迫ることができるという作戦です。

しかし、Earlyはまず一方の北軍を素早く包囲して敗走させ、返す刀でもう一方の北軍も敗走させてしまいます。Wrightの部隊はかろうじてVPを得点できる距離(10ヘクス)にとどまりましたが、更なる前進は困難でした。

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On To Richmond! 1864 (12~13ターン)

ランダム・イベント:南軍指揮の停滞、効果なし (Leeが病気なら南軍指揮の停滞)

北軍が大きな損失を被ったため、ゲームは第13ターンで終了する可能性が高まりました(2d6が8以下で終了)。北軍はこの2ターンで勝利に必要なVPを稼がなければなりません。そこで、Malvern Hill付近での戦闘で敗走した部隊を含め、Potomac軍全部を1個のスタックにまとめて、Richmondの5ヘクス以内に進めることにしました。この力任せの前進は成功し、その過程でいくつかの南軍を敗走させることもできたものの、勝利ポイントの不足は補いきれませんでした。

北軍は、ゲームが継続することを願って前進を断念しましたが、ゲームは第13ターンで終了、南軍の勝利に終わりました。

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ゲーム終了時の勝利ポイント

+100南軍の最低限勝利
+12Caroline郡 × 4 (1、5、9、13ターン)
+6New Kent郡 × 2 (9、13ターン)
+30Hanover郡 × 3 (5、9、13ターン)
+3Staunton (13ターン)
+70Richmondの5ヘクス以内に14個師団
+4Richmondの10ヘクス以内に2個師団
+18ゲーム開始時の持ち点
+45南軍損失 × 15
-88北軍損失 × 44

感想

とても面白いプレイでした。北軍は、中盤までは迂回機動を繰り返して徐々にRichmondに接近することができたものの、あと一息というところで部隊を分散させてしまい、そこを南軍に攻撃されたことが最大の敗因となりました。このときの南軍の機動は、Chancellorsvilleの迂回機動を見るかのようで、敵ながらホレボレしてしまいました(非常に悔しかったですが)。

史実においてGrantは、Chickahominy川を南に渡らず、Cold Harborで正面突撃をおこなったことで、大きな痛手を受けました(GTCの視点からすれば、この突撃の失敗がゲームの終了と北軍の敗北を決定付けるように思います)。今回のプレイで北軍はCold Harborを無視してChickahominy川の南に進出しましたが、それによるデメリットは感じませんでした(そこでの戦闘に敗北したのは部隊を二分するという戦術的ミスの結果に過ぎません)。このため、Grantが史実においてCold Harborへの突撃を決断した理由に興味が湧きました。

史実におけるGrantの判断の背景には、Chickahominy川南岸の低地に部隊を入れることを嫌ったことと、5月上旬から戦闘を続けてきた北軍は、戦闘を続けられないほど士気が下がっていたことがあると書かれているのを読んだことがあります。

前者について、GCACWシリーズのマップのChickahominy川の南岸は、北岸に比べて極端に戦いにくい地形にはなっていないと思います。1862年戦役におけるMcClellanの失敗は、増水した川をまたいで布陣したことにあると提示されるように思います。Chickahominy川南岸はもっと厳しい地形として描かれるべきなのかも、と考えてよいのかもしれません。

後者については、ゲームが無作為に終了し、北軍の損害が多くなるほどゲーム終了の確率が増えるというルールで再現されていると思います。今回のプレイにおいて北軍は、Cold Harborへの突撃の失敗で敗北する可能性の方が、ゲーム終了によって敗北する可能性より大きいと判断し、Cold Harborへの突撃を見合わせて、更なる南への迂回がおこないました。

史実におけるGrantはGTCで言うところの「ゲーム終了によって敗北する可能性」を僕よりも重く受け止めていた、ということなのかもしれません。実際、僕は「ゲーム終了判定で負けちゃうなら仕方ないかも」という気持ちを持っていたかもしれません。しかし、Grantは「負けちゃうかも」という可能性を放置しない決断をできる将軍であり、そのような決断をする人物だったからこそLincolnはGrantを信頼したと考えられるのかもと思ってしまいました。

とはいえ、GrantがCold Harborにおける失敗から10日しか経たないうちに、さらなる迂回機動を始めたことを考えると、Cold Harborの突撃はやっぱり無くてもよかったのではないかと、後知恵コメントのひとつもつけたくなるような気もします(汗)。

今回のプレイの後に何が起きたのかについても興味が尽きません。Petersburgへの迂回も含めたキャンペーンゲームを、GCACWシリーズでプレイできる日が早く来くることを強く願うばかりです。まずは、Lee Vs Grantを久しぶりにプレイしてみようかな。

コメント


  • イチローさん、GTCのキャンペーンはおそらくかなり楽しめると思いますよ。機会があれば是非対戦を実現させてください!! いつか、対戦させていただければ幸いです~ -- たかさわ 2007-05-22 (火) 23:07:02
  • 済みません↑いきなり失敗してしまいました。七ヶ月の長期にわたるキャンペーンお疲れさまです。このリプレイを読んで私もGTCのキャンペーンをプレイしたくなってきました。 -- イチロー 2007-05-21 (月) 23:42:01
  • aa -- 2007-05-21 (月) 23:37:06

Last-modified: 2014-10-13 (月) 10:52:25 (1826d)