On To Richmond!のシナリオ「The Gate Of Richmond」を、Vassalを使ってPBEMしました。筆者は北軍を担当し、プレイには309日を要しました。

セットアップ

The Gate Of Richmondは、1862年の半島戦役を舞台にした仮想シナリオです。史実において半島戦役には参加しなかった北軍のMcDowellの軍団が、Seven Pinesの戦いがおこなわれた5月下旬にRichmondに向けて前進したらどうなるかを検証します。

シナリオの長さは7ターン。基本ゲームシナリオとしては非常に長いと言えるものの、対面でプレイすれば1日で最後までプレイできるように思います。筆者は今回このシナリオを初めてプレイしましたが、両軍が採りうる戦略が複数あり、その決断が相手プレイヤーの選択に大きく影響を及ぼす上に、ランダムイベントの雨が展開に大きな影響を及ぼすという、変化の多い興味深いシナリオになっているように感じました。

右の図はシナリオ開始時における両軍の配置を示したものです。

クリックすると大きな画像が表示されます

第1、第2ターン (5月26日、27日)

ゲームは南軍のDH HillとLongstreetによるKeyesへの攻撃で始まりました。南軍は北軍に付け入るスキを与えないままKeyes指揮下の2個師団を敗走させます。これによってChickahominy川南岸における主導権は完全に南軍のものとなり、北軍は更なる損害を避けるためにHeintzelmanを後退させます。

一方、Chickahominy川の北では、McDowellがマップの北端からじりじりと南進すると共に、北軍中央のFranklinとPorterが西に進んだ後にRichmondに向けて南に向きを変え、Magruderの防衛線に穴を開けることに成功します。

クリックすると大きな画像が表示されます

第3ターン (5月28日)

両軍に増援が到着しました。McDowellはShieldsの師団を受け取ったものの、相対するAP HillがEwellを受け取ってSouth Anna川沿いの防衛線を固めたため、東へと迂回して南進することを余儀なくされます。

Magruderの防衛線に穴を開けたFranklinとPorterは、Richmond市街への突入に成功します。しかし、Richmond守備隊を掃討しようとする北軍の試みは、前線から舞い戻ったSmithによる反撃によって頓挫します。

また、FranklinとPorterが前進したことによって弱体化した北軍の中央をDH Hillが奇襲します。この攻撃自体は失敗したものの、DH Hillへの反撃を試みたKeyesは返り討ちにあい、再び敗走してしまいます。DH Hillを南へと押し戻すために、北軍はRichmondの正面からPorterを引き抜かざるを得ませんでした。

クリックすると大きな画像が表示されます

第4、第5ターン (5月29日、30日)

Richmondの正面に残ったFranklinに対し、MagruderとSmithが相次いで攻撃をおこないましたが、Franklinは敗走せずに踏みとどまりました。しかし、先のターンにDH Hillを追い払ったPorterやSumnerは動かず、南軍はその間に更なる攻撃を繰り返してFranklinを敗走させることに成功します。

そしてこの後、Atlee's Station周辺で両軍が激突します。北軍のFranklin、Porter、Keyes、Sumner、McDowellの5個軍団と、南軍のAP Hill、Ewell、Smith、Magruderの4個師団とがこの後2ターンに渡って激戦を繰り広げ、両軍それぞれが10ポイント以上の戦力を失うことになります。

クリックすると大きな画像が表示されます

第6ターン (5月31日)

Atlee's Station周辺での戦闘に、先のターンにChickahominy川の南でHeintzelmanを敗走させたLongstreetが来援して、両軍はさらに損失を重ねていきました。しかし、この戦闘はどちらの軍が勝ったとも言えないままに収束し、その後に北軍が西への前進を始めました。

この時点で南軍よりも約20ポイント多い兵力を失っていた北軍には、Richmond市街を複数ヘクス占領する以外に勝利する道は残されていなかったのです。

クリックすると大きな画像が表示されます

最終ターン (6月1日)

北軍はRichmondを取り囲む堡塁の3箇所に穴を開け、Richmondへと前進してきましたが、こでまでの消耗があまりに激しく、Richmondに取り付くより前に多くの部隊が脱落していきました。そして、前線から戻った南軍がRichmond市街の防御を次々と固めていきます。

しかし、北軍はRichmond市街の2ヘクスに部隊を突入させることを成功し、一時は勝利に必要なVPを達成します。しかし、James川の南から来援したRipleyが、Richmond市街1ヘクスを奪回することに成功したところで北軍は力尽き、南軍の勝利が確定しました。

+9南軍最低限の勝利
+10Richmond市街地ヘクス × 1
+16Henrico郡の堡塁 × 8
+10駅 × 5
+36南軍損失
-63北軍損失

Powered by Flickr

まとめ

全7ターンを通じて激しい戦闘が繰り返された、「史実より1ヶ月早い七日戦争」とでも言うべき展開になりました。始終防戦に回った史実の北軍に比べれば、Richmondの一角を奪取した筆者を褒めてあげたい気がしないでもありませんが、その代償としてあまりに多くの兵員を失いすぎたことが北軍の敗北の大きな原因となりました。

今回の展開をざっくりとまとめてみました。

1日目 - 第1次Seven Pinesの戦い
南軍が圧勝。しかし、北軍にできることはほとんどなく、増水したChickahominy川に追い詰められないように逃がしてやるのが精一杯。南軍のダイスも平均またはそれ以下だったので、もっとひどい結果になる可能性もあった。
3日目 - 第1次Richmondの戦い
南軍の勝利。Richmondへの進撃路が空いたことで浮き足立ち、Richmondに単独で進入した北軍が、来援した南軍に撃退された。戦場の遠くであっても、疲労レベルの低いユニットが存在している間は、北軍は慎重にことを進めなければならないことを実感した戦闘。
3日目 - 第2次Seven Pinesの戦い
南軍の圧勝。Chickahominy川以南の南軍が手薄になったと判断して不用意に前進したHeintzelmanが、Longstreetに一方的に叩かれた。移動力のダイスが良かったからといって、動けるだけ動いて失敗する例の典型。
3日目 - DH Hillの襲撃
この戦闘だけを切り出して見れば北軍の辛勝と言えなくもない。しかし、せっかく前進した北軍をこの戦闘のために後退させた意義は大きく、戦略的に見れば南軍の判断が正しかった(または、DH Hillを無視できなかった北軍の判断ミスだった)と言えるのではないかと思う。
4日目~6日目 - Atlee's Stationの戦い
今回のプレイにおける最大の会戦。戦術的には引き分け、戦略的には南軍の勝利。3ターンにわたっておこなわれたこの戦闘は、「最後に立っている者を決める戦い」とでも言うべき激しい殴り合いになった。こういう会戦に部隊のほとんどを3ターンも拘束された点で北軍は負けていると思うべきなのだろうけれど、かといって始まった戦闘から不用意に離脱すれば一方的に損害を受けることになりうるのでいかんともしがたかった。
7日目 - 第2次Richmondの戦い
史実の半島戦役ではなしえなかったRichmondの一部占領を達成した故に、北軍辛勝としておきたい。ああ、Ripleyがあと1ターン遅く解放されていれば。。。

感想

McDowellがShanandoah Valleyではなく半島戦役に参加し、それに対応すべくJacksonがEwellを引き抜かれる(その結果、Valleyは5月以前の平穏を取り戻す)という設定は、僕にとっては興味深く、かつ自然に受け入れられるものでした。僕は、仮想の設定を用いるウォーゲームにネガティブな印象を持つことが時折あるのですが、GCACWシリーズの仮想シナリオは「キャンペーンゲームにおいてプレイヤーが採りうる決断のひとつ」を提示するように思えるので、実際の戦闘を題材にしたシナリオと同じように楽しむことができるように感じています(筆者が「アバタもエクボ」的に、GCACWシリーズなら何でも好きだと思っているだけという話もありますが。。。)。

Richmondの一角に突入するという、史実よりも高い成果を北軍があげられたのは、McDowellの参戦によるものなのか、プレイヤーが史実のMcClellanよりも積極的な戦略をとったからなのかは、今のところ判断できません。南軍の軍司令官がJohnstonではなくLeeであったならば、さらに厳しい展開になっていたようにも思います。このゲームの「七日戦争」シナリオや、キャンペーンシナリオをプレイすることで、考察のためのより多くの材料を得られると思いますので、それを楽しみにしたいと思います。

GCACWシリーズで北軍をプレイしていると、「自軍への損失をどこまで容認するか」というジレンマに直面することが多いように感じています。今回のプレイでは容認される損失を具体的に認識できないまま、ズルズルと戦闘に巻き込まれ続けて、Richmondへの突入を果たしたにもかかわらず敗北することになってしまいました。Richmondを1ヘクス占領すれば10ポイントの損失を埋め合わせることができることが、北軍に自軍の損害を甘く見させてしまう罠になっているようにも思えました。

コメント



Last-modified: 2014-10-13 (月) 10:52:24 (1826d)